宗像市消防団には、10代から70代まで幅広い世代が所属しています。仕事や子育てと両立しながら、「地域を守りたい」という想いで活動を続ける団員たち。今回は、在団23年のベテラン分団長・清水陽介さんと、子育てをしながら女性班で活躍する壹岐祥子さんに、消防団のリアルを語っていただきました。
【対談メンバー】
清水陽介さん 宗像市消防団 分団長
壹岐祥子さん 宗像市消防団 団員
きっかけは、先輩の一声
——まず、お二人が消防団に入ったきっかけを教えてください。
清水さん:社会人1年目の23歳のとき、近所の先輩から声をかけられたのがきっかけです。当時は「地元で働くなら消防団に入るのが当たり前」という空気があったので、軽い気持ちで引き受けました。それが気づけば23年、人生の半分を消防団員として過ごしています。
壹岐さん: 私は22歳のとき、当時勤めていた宗像大社で「女性が足りないから」と誘われたのが最初です。出産を機に一度退団しましたが、下の子が3歳になった頃、再び声をかけてもらいました。当時はずっと家で育児をしていて、社会との接点を強く求めていた時期。迷わず復帰を決めました。通算で10年以上になりますね。
消火だけじゃない、「街を守る」仕事
——活動内容は男性と女性で違うのでしょうか?
清水さん: 地域分団(男性)は火災現場への出動が基本です。消防署と連携して、水を確保して送水したり、放水活動をしたり。他にも水害時の救助や行方不明者の捜索、月2回の車両点検やパトロール、訓練など多岐にわたります。

壹岐さん: 女性班は現場には行きません。主な活動は防災啓発と救命講習の講師で、特に救命講習に力を入れています。入団すると救命講習の普及員資格を取るんですが、それを活かして幼稚園の先生や高齢者の集まり、たまご学級なんかで講習をしています。

清水さん: 女性班は、劇の制作なんかも熱心にやっているよね。
壹岐さん: そうなんです。子供たちに分かりやすく防災を伝えるために防災劇を作って上演したり、クワイアチャイム(※鉄琴のような音色を出すハンドベル型の楽器)を演奏して注目を集めてから講話をしたり。消火器の使い方や熱中症対策の講座もやっています。仕事や家庭の合間に、無理のないよう長いスパンをかけて準備しています。
清水さん: 女性班の活動は本当にすごいですよ。救命講習の講師として人前に立つのは自信がないとできないことですし、自分たちの活動に対する誇りを感じますね。
行ける人が、行ける時に。意外な柔軟さ
——訓練が厳しく、拘束時間が長いイメージがありますが、両立はいかがですか?
清水さん: よく言われます。でも実際は全然違うんですよ。もちろん火を消すときは安全のために厳しくやります。命に関わりますから、規則もしっかり守らないといけない。ただ、基本は「行ける人が、行ける時に」が原則です。活動ノルマはなく、訓練日程も2ヶ月前には決まるので、仕事の調整もしやすいですよ。
壹岐さん: 女性班も非常に柔軟です。月1回の定例会議以外は、「この講習に行ける人はいますか?」と募集があり、行けるメンバーが手を挙げるスタイル。子どもが小さいときは会議に連れて行ったこともありますが、皆さん温かく迎えてくれましたし、子どもも楽しそうにしていました。
清水さん: 入団当初は、学生サークルの延長みたいだなと思いました。先輩後輩の関係はありつつも、入ってきた人を「おいでおいで」と迎えるポジティブな集まりです。きつい場面もありますが、だからこそ楽しもうとする能力がみんな高いんですよね。
続ける理由は「仲間」
——お二人が活動を続けてこられた「やりがい」とは何でしょうか。
清水さん: 火事はない方がいいですから、消火自体にやりがいを感じるというのとは少し違う気がします。でも、地元の火災だと普段の倍以上の人数が集まってくるんです。それはやっぱり根底に「地域を守りたい」という使命感をみんなが秘めているから。その思いを共有できる仲間がいることが、続けている一番の理由かもしれません。

壹岐さん: 私は、講習の後に「ありがとうございました」「勉強になりました」と声をかけてもらえるのが一番の励みです。救命の知識は自分のためにもなるし、それが誰かの役に立つ。その積み重ねがやりがいに繋がっています。専業主婦の私にとって、消防団は社会と繋がれる「胸を張れる場所」。子どもたちにも堂々と「行ってくるね」と言える、大切な居場所です。
清水さん: 1人だったらやめてると思うんですよ。でも仲間がいるから続けられる。心が折れることもありますけど、みんなで乗り越えて、楽しみを見つけながらやっています。
——「仲間」というお話が出ましたが、プライベートでの交流もありますか?
清水さん: もちろんです。訓練の後に飲みに行ったり、旅行に行ったり。年齢も仕事もバラバラですけど、「地域を守る」という同じ目的があるから、世代を超えた絆が生まれるんです。まるで「大人の部活」のような楽しさがあって、仕事でも家庭でもない「第3の居場所」でもあります。消防団以外でも、地域のお祭りや仕事関係でしょっちゅう顔を合わせますし、信頼関係ができているから仕事の話もスムーズに進みます。
壹岐さん: 女性班も仲がいいですよ。全国女性消防団員活性化大会に合わせて、みんなで報酬を積み立てて全国各地に行っています。この前は日帰り弾丸で長崎へ。ちょっとした小旅行みたいで楽しかったです。
——普段出会わない方とのつながりができるんですね。
壹岐さん: そうなんです。例えば、女性班だと63歳の方と40歳の方が一緒に活動しています。普段だったら絶対出会わないような人たちが、消防団をきっかけに繋がっているんですよね。
家族が見ている背中
——ご家族の反応はいかがですか?
清水さん: 私の子供たちは、生まれた時から私が消防団員として活動する姿を見て育ちました。先日、「何年かしたら卒業かな」と話すと、子供たちが少し寂しそうな顔をしたんです。彼らにとって、私は「消防団で頑張りよるお父さん」だった。それは誇らしくもあり、活動が家族の暮らしの一部になっていたんだなと感じました。
壹岐さん: うちの子も「お母さん、消防団なんやろ?」と誇らしげに話してくれることがあって、嬉しいですね。母親が地域のために活動している姿を見せるのは、悪いことではないと思っています。

まずは気軽に、来てみてください
——最後に、消防団に興味を持っている方にメッセージをお願いします。
壹岐さん: 消防団は特別な資格がなくても始められます。私みたいに「何をするか分からないまま」入っても大丈夫、周りがサポートしてくれます。友達でも仕事関係でもないけれど、困った時に相談できるような、家や職場以外の居場所を探している方に、ぜひ飛び込んできてほしいです。
清水さん: 地域のコミュニティに溶け込むには一番の近道です。新しく引っ越してきた人や移住者の方も、すぐに馴染めますよ。地元が好きな人、「楽しそうだな」と思った人は、まずは気軽に来てみてください。美味しいお酒も準備して待っています(笑)。
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