【人まち事業】「てくてくさくらねこ」の会 活動報告と地域講演会

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 1月29日(日)、河東地区コミュニティ・センターで「てくてくさくらねこ」の会が活動報告と地域講演会を開催しました。雪のちらつく寒さの中、地域猫活動に関心のある市民50人ほどが参加しました。

「てくてくさくらねこ」の会とは

会場の様子

 「てくてくさくらねこ」の会は、宗像市須恵にあるてくてく遊歩道に増えていた野良猫を見かね、遊歩道を居心地の良い環境にするために立ち上がった市民活動団体です。野良猫を捕獲して避妊去勢手術を施し、地域にリリースした後は「地域猫」として毎日餌やりとトイレ掃除を行い、地域で世話をしています。地域に活動目的と経過報告をし、これからの活動への理解と協力を得るため、講演会と合わせて開催しました。

前半の部「活動報告」

 前半の部では各部会長の3人が活動を始めてからこれまでの経過を報告しました。

「てくてく」での地域猫活動の様子と猫動態

配布資料
動画を見ながら説明

 「リリース後の猫の世話と環境整備」の部会長・石原さんが、活動を始める前の遊歩道の状況、会の始まり、取り掛かったこと、現在の様子、これまでの遊歩道の猫の動き(猫動態)、活動を通して分かったことなど動画を交えながら説明しました。

 飢えて人に群がる猫、「ネコに餌をやらないで」の看板、隠れて餌をあげる住民間でのいざこざ、やりっぱなしの餌に集まるアリやカラス、伸び放題の雑草…。当時は人も寄り付かない遊歩道でしたが、地域住民への聞き取りと地域猫活動の協力呼びかけ、猫の個体識別と動態把握、不妊手術、餌やりとトイレの管理、公園清掃と花壇づくり、餌を与えてきた人たちとの連携やルールの確立・伝達など、地道な活動によって次第に遊歩道環境は改善されていきます。

 「令和4年度宗像市人づくりでまちづくり事業補助金」の採択団体として活動を行い、環境課と協働する中でてくてく遊歩道を超えて宗像市全域の「飼い主のいない猫」に対応するようになっていきます。根気、お金、時間、労力などの課題と戦いながらも、地域から飼い主のいない猫がいなくなるまで活動を続けたいと、意気込みを語りました。

TNR活動の実績と来年度の宗像市のTNR活動

 「TNR活動」について話すのは部会長・岩本さん。繁殖力の強い猫を野生で増えさせないために、Trap(捕獲)、Neute(不妊手術)、Return(元の場所に戻す)の活動に力を入れています。

実際に猫の捕獲に使用する網 
麻酔で眠り手術を待つ猫たちの様子を説明

 公益財団法人 どうぶつ基金の「さくらねこ無料不妊・去勢手術事業」によって手術を施された猫は、活動を始めてから2023年1月までに220匹に上ります。(市内全域の猫を対象)岩本さんは、猫が不妊去勢手術を受けることのメリットの他、猫の繁殖力がいかに強いか、捕獲した猫に手術を受けさせるまでの具体的な手順、今後のTNR活動の課題などについて話しました。

 会は4月以降どうぶつ基金の無料手術が利用できなくなることを受けて、福岡県動物愛護センターで無料で不妊手術が受けられるよう署名活動を行い、市に協力を仰いでガバメントクラウドファンディングで150匹分の手術代に充てる資金を確保するなど対策を講じています。

飼い主のいない猫の里親探し(譲渡活動)

 地域猫活動には本来、譲渡活動は含まれていませんが、個人で譲渡活動をしていた人が会員になり、会発足後1年間で39匹の猫が譲渡されました。里親を募集している猫とその特徴・性格などが一目でわかるパネルを横目に、譲渡活動部会長・前田さんが譲渡の流れと今後の展望について話しました。

前田さんのお話
里親募集の猫たちを紹介するパネル

 現在、前田さんは26匹、TNR担当の岩本さんは45匹ほどの猫をそれぞれ預かっています。スライドでは猫の拾われた当時と、譲渡され新しい家庭で暮らしている現在の写真などが紹介されました。里親希望者が現れると説明とマッチングを行い、2週間程度お試しで猫と一緒に生活してもらいますが、前田さんは里親になる人が責任を持って猫を飼育してくれるか、譲渡後も定期的に猫の様子を報告してくれるかという点を大切にしているといいます。

 また、「猫を飼いたいけどいつまでお世話できるか不安」という高齢者と里親募集の猫の架け橋となる「『ずっといっしょ』プロジェクト(案)」を構想中。ペットと暮らす喜びを一人でも多くの人に提供したいと話しました。

後半の部

 後半の部では九州女子大学・九州女子短期大学の元教授、園田 頼暁先生が実践してきたキャンパス猫活動について話しました。

 園田先生は平成23(2011)年に大学キャンパス内の野良猫を保護・管理する部活動「福原学園・地域ネコ保護の会(通称、ふくねこの会)」を設立し、学生とともに巡回日誌をつけながら一番多いときには23匹の猫を世話していました。2022年夏、推定20歳まで生きた長寿猫で、キャンパス猫の最後の1匹である「ココロちゃん」は新聞やテレビ「朝イチ」にも紹介されました。猫活動をしている地域への視察や交流を積極的に行ってきた園田先生は「キャンパス猫たちは学生の心を癒し、命の尊さを教えてくれた。ココロちゃんはじめ、キャンパス猫たちが果たした役割は大きかった」とこれまでを振り返りました。

 講演会途中、「てくてくさくらねこ一同」からとして、園田先生から会の代表の永山さんに感謝状のサプライズ贈呈がありました!

「てくてくさくらねこ一同」から感謝状が!
にっこりな永山さん
園田先生からもプレゼントが

 ココロちゃんが使っていたキャリーバックや未使用の餌なども添えて、「活動に役立ててほしい」とこれからの地域猫活動へ想いを託しました。

終わりに

 最後に岩本さんから、再度署名と募金のお知らせがあり会は終了。休憩中も終了後も、参加者同士が集まってそこそこで話に花が咲き、会場はとてもにぎわっていました。

 地域猫活動を続けていくためには活動に対する市民の理解と支援などの協力が不可欠です。スタッフとして関わりたいなど、活動に興味を持った人は会へ連絡してみてください。

団体情報

問合せ先

担当:石原さん daryl515@yahoo.co.jp

寄付先

ゆうちょ銀行 
店番:748 
記号番号:17490 
口座番号:9617085
口座名義:「てくてくさくらねこ」の会 

note

てくてくさくらねこの会 

Instagram 

譲渡担当 前田さん Instagram

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