【7/20】基礎講座 :LDA2018 1限目

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地域の担い手が集う、まちづくりの学校、ローカルデザインアカデミーむなかた(以下LDA)。

今年で3年目となるこちらの企画。今年のテーマはこちら。

「企画のつくりかた」

広く何か伝えたいことや熱い想いを具体的に「イベント」という形にして告知し、開催する。
そして参加してくれた人たちにそれぞれ「何か」をもって帰ってもらう。
そんな一連の流れ全てを「企画」といいますが、いざやろうとすると…

何から始めたらいいの?
どうやって進めていけばいいの?
どんなところに気をつけたらいいの?
誰に聞いたらいいの?
どこに行ったら教えてもらえるの?

と思っている人、きっとたくさんいるのではないでしょうか。

ということで今回は、百戦錬磨の企画のプロや実際にそれを仕事としている人を講師としてお呼びし、
【基礎講座】【実践講座】【応用講座】の3本立てで、企画を作れるようになろう!
という目的でお届けしています。

定員20名のところなんと1限目では30名の応募があり(!)、企画づくりの需要を感じながらLDA2018は幕を開けたのでした。

 

前置きが長くなりましたが、
ここでは1限目、「企画のいろはを学ぶ」開催レポートをお届けいたします!

基礎講座:企画のいろはを学ぶ

講師は東 信史(ひがし のぶふみ)さん。(以下、愛称まっくすさん)
京都で有限責任事業組合 まちしごと研究所 代表をされています。
たくさんの人の多様な価値観を引き出し、共通のゴールを提示して全体を導くファシリテーターを得意とするまっくすさん。
「まちに関わってもらうきっかけをつくってもらう」ことをお仕事として全国で活躍しています。

年に30以上もの団体をまちに生み出す「場づくり」のプロが企画を考える時に大切にしていることを中心にお話しいただきました。

「地域におもしろい企画が増えると、その地域に住むのが楽しくなる」

「おもしろい企画にはおもしろい人が集まる。つまり、おもしろい企画が増えると、魅力的な人と出会える機会がまちに増えるということになります。そして顔も知らない人ばかりのまちより、顔を知った人が多くいるまちの方が愛着が湧きますよね。なので、おもしろい企画がまちに増えていくといいなって、僕自身思ってます。
そしてこの講義を聞いて「え、意外と企画つくるのって簡単そう」「私にもできそう」って思ってもらうことが僕のゴールです。」

せっかく集まった志を同じくする人たち。この出会いを大事にしてほしいし、ここでぜひ仲間をつくってほしいということで、同じテーブル内で自己紹介タイムが設けられました。

普段どんな活動をしていて、なぜ今日ここに来たのか、皆さんの境遇はさまざま。
「こんなことをしたくて」「仕事で企画をしなくちゃいけなくなって」「企画ができるようになりたくて」…

 

共有するだけでもみなさんの心の距離がぐっと近づいたようでした。
これからの講義に胸を膨らませ、まっくすさんのお話が始まります。

①知っておくと良い企画の基礎知識

そもそも、企画とは?「ある事をするため、計画を立てること。もくろみ。」のこと。

つまりは、実現させたいものがある上でそれを埋めるためのものとして企画はある、とのことでした。
(図でいうところの、黄色の問題を解決するための手段として)
そのために必ず必要なものは「何のためにやるのか?」という目的。まずはここをはっきりさせることが大事になります。

②企画の構成要素と組み立てる手順

中学校の英語で習いそうな5W1H。企画を組み立てるにはこれらの当たり前のことを、当たり前に考えていくことが大切になります。

・誰とやるの?
・どんな人たちに来て欲しいの?
・いつやるの?(今年?来年?平日なの?週末なの?)
・どこでやるの?(会議室でするの?それとも地域に出て言ってどこかの集会所でするの?街のカフェは?)
・何をテーマにしながらやるの?
・どれくらいの規模で?どれらいの予算でやるの?

…などなど。

また組み立てる順番については、最初に「Why?なぜやるのか?」を企画者がよく考えることが大切になってくるとまっくすさんは念を押します。
企画の根源が自分の想いからであれ、仕事で企画をしなければならないからであれ、この機会を通して自分がどんなことを実現したいのか、ここが大切と。

なぜやるのかがはっきりしてくれば、②、③はみんなで考えれば出てくる。みんなの力と知恵とつながりをうまく使えば、やれることが決まってくるといいます。

実際には「なぜ?」のところがうまく共有されないままにイベントが走っていってしまう場合がとても多いそう。

「企画者がやりたいこと」について「みんなもやりたいと思えるような話し合いができているか?」、また「何でやりたいかをちゃんと伝えて共感してもらっているか」「一緒にやろうと思ってもらえているのか」。このことをまずは大事にしてほしいということです。

①まずは企画者が「なぜやりたいか」をしっかり考える
②一緒にやる人に話して共有し、共感してもらう
③それが実現するためにはどうしたらいいか、ということを話し合う

③企画づくりで気をつけること

会場について

一口に会場といっても、どんなことを考えればいいのでしょうか?まっくすさんの会場が持つ要素は以下のようなもの。

・広さは?動きやすいか?
・空調は?
・照明の位置・席の配置は?
・アクセスは?(公共交通機関・駐車場は?)
・一般的に知られている場所?

など。企画をどんなタイムスケジュールで進めていきたいかによって会場を選ぶことをお勧めするそうです。

席の配置について

会場の席の配置もさまざまな形があります。どんな雰囲気の企画にしたいか、どのようなプログラムで進めていきたいかで配置を決めていきましょう。
※ちなみにLDAでは主にアイランド型で講座を進めています。

・アイランド型:グループワークや意見・考えの共有がしやすい
・分散型(バズ型):自由に動き回って好きな人と集まって交流し合う、という形式
・サークル型:初めましての人たちだらけの場合、今日はどんな人がいるんだろう?を上も下もなくみんな一列に並んで円になって顔を見合わせたいときにオススメ。

会場・講師について

会場と講師は企画の雰囲気とスムーズな進行に関係してきます。

貸してくれるところが公共施設ではなく個人オーナーがいるような場所の場合、貸してくれる人が企画の内容に共感してくれているかどうかもとても重要だと言います。安ければいいということでも、高くてオシャレだからいい、というわけでもなく、企画の内容と合っているか、来てもらいたい人に来てもらえる場所かという視点で選ぶという点が大切です。

また講師の候補にもこのような選び方があるといいます。

講師業として日頃お金をいただいて仕事をしている人をプロ、一般の人よりは得意だけどそれを教えることを専門としてはいない人をアマチュアとして分け、企画者と親しい仲にある人、縁遠い人を関係性の軸で分けたとき、このようなことがそれぞれ起こるというまっくすさんの肌感覚を図に表したものです。

ピンク:講師の人も慣れていないのでお互い結構大変。だけどお互い勉強になる。
グリーン:プロがしてくれるので安心感があるし運営側としては楽だけど、お金はかかる。
ブルー:一番難しい。お互い新しいつながりができるし、講師の人にとってもいい経験になる。
オレンジ:いい刺激にもなるし新しいつながりも増えるけど、敬意はしっかり払いましょう。気を引き締めて。

お金がないときには講師の人と一緒に考えていく、お金があるときは敬意を払って来てもらう、という感じですね。
ただ、講師は企画に必須というわけではないので、企画を通して達成したいことを考えた上で必要性については決めていくと良いとのことです。

備品について

オススメの準備物について、6つほど。

お茶・お菓子:甘いものがあることで場が和んだりブレイクタイムが取れたります。司会側の気が楽になる効果も
名札:初対面の方は一度名前を聞いてもだいたい覚えられないので、あると安心します
映像・音響・配布資料:聞くだけでなく視覚情報があることでより多くの情報を伝えることができたり、多くのことを持ち帰ってもらうことができます
コメントシート(アンケート):これをとることで、これがよかったんだ、これはまずかったんだ、次回こうしようかな、というのがわかる。それをすることで次回の進行がしやすくなる効果もあります

やりたいことをやる

③のまとめになりますが、企画はぜひやりたいことをやりましょう。

やりたくない企画を立てても人は集まって来てくれません。
自分がやりたいこと、できること、そして求められることができていけば最高ですね。
「自分がやりたいことが何かわからない」という方は…

 

「ひたすら30分間自分が好きなことを紙に書きまくる」ということから、自分が何が好きなのかが見えてくるという手法が有効です。(偏愛マップ)
またこれまでの人生の中で心が大きく動いた経験を思い出して、それに基づいた企画をしてみるのも面白い切り口になるでしょう。(転職、結婚、出産、趣味など)そしてまずはやってみてから、またやりたいか、もうやりたくないのかを判断していけばいいのです。

やりたいことがわかると自分ができることもわかるのですが、それが世の中から必要とされているかどうかは一人ではわかりません。やりたいことをやるだけでは、ただの自己満足になってしまうかもしれません。

世の中や地域で何が求められているのか、それを知るためにどうしたらいいのでしょうか?

それは周りの声を聴く、ということ。
一人じゃなくてみんなで考えるという機会を持つことが、企画を考える上で重要なことだとまっくすさんは言います。
企画づくりの一歩は、自分が好きなことややってみたいことについて、人に話してみることから始まります。

④企画が作れるようになることのメリット

企画がつくれるようになるとどんないいことがあるんでしょうか?

 

今まで待ちの姿勢だったのが、自分たちがしたいことを自分たちで実現させることができるようになるメリットがある、ということがまっくすさんのお話からわかりました。
自分のしたいことを周りの人に話すことは、いろんな人とつながるきっかけができやすくなるんですね。
そして企画はすればするほど多様なつながりが増えるので、できることもどんどん増えていくようです。

1限目 まとめ

基礎講座では講演スタイルで「企画のいろはを学ぶ」ことが中心となりました。
ですがまっくすさん曰く、「ここ宗像で同じ志をもった、企画について学びたいという人が30人も集まったことがとても意味のあること。ここのつながりをぜひ大切にしていただいて、これまで行ってみた企画のどんなところがよかったとか、お互いどんなことがしたくてどんなことが困っているのか、そういうことを共有できる仲間をつくっていってほしい」とお話ししていました。

“今までモヤモヤと思っていたものが晴れてきたように思います。アイデアは出るのに次の「やる」というステップを踏めずにいましたが、少しずつやってみようと思います!”

“特に活動を行なっていない自分でも企画できるかも?と思えるような講座だったため。すごく難しくて壁があるように思っていたけど、楽しかったこと、やりたいこと、好きなことなど、自分のちょっとした気持ちがまちづくりにつながっていくかもしれないと思うと、夢があるなぁ!と思いました。”

など、参加者の皆さんもとても満足されたようでした。

次回はここで学んだことの実践です。
まっくすさん、本当にありがとうございました!

 

 

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