梅雨も明け、いよいよ夏も本番を迎えた7月19日。ひのさと48の「箱とキッチン」でだっことおんぶのセミナーが開催されました。
主催は「あかちゃんの育つ環境を守る会・ゆるりんこ」。第一子の子育て中のお母さんたちが、安心して自分らしい子育てができるように寄り添い活動をしています。
ゆるりとはじまります
この日集まったお母さんと赤ちゃんは3組で、赤ちゃんたちはそれぞれ生後2ヶ月、1歳0ヶ月、1歳1ヶ月。
飲み物を飲み、ちょっと一息ついて円になって座ります。1人ずつ簡単に自己紹介と、今日聞いてみたいことについて共有しました。
そもそもだっこの仕方はこれでいいのだろうかと悩む新米ママ。あやし方など、初めての育児に対していろいろ悩みがあるそうです。
1歳の赤ちゃんのお母さんたちは、
「今使っている海外メーカーの抱っこ紐、説明書を読んでみたけどこれであってるかわからない」
「おんぶもできるみたいだけど、付け方が悪いのか紐がくい込んで赤ちゃんがつらそう」
「表記的にはまだ使えるはずだけどかなり窮屈そう。サイズアウトの基準がわからない」
…など、だっことおんぶについてさまざまな悩みがあるそうです。
実際に抱っこ紐を装着しながら正しい位置や姿勢を教えてもらいます。
抱っこ紐を使った実践
首のすわった赤ちゃんを抱っこ紐で抱っこするときの第一のポイントは、お母さんのおへそのあたりに赤ちゃんのお尻がくるように、腰ベルトを巻くこと。
そのポイントに注意して抱っこし直してみると、赤ちゃんの頭はお母さんの顔の近くまでくることがわかりました。
たくさんのお母さんたちを見てきた藤原さんは、「腰ベルトの位置が下すぎるお母さんが多い」と言います。赤ちゃんの体重が増えてくるとますます下がってくる傾向があるそうなので、赤ちゃんの位置が下がりすぎていないかをチェックしてみるといいかもしれません。
次に多いのは「背中のベルトが上に上がりすぎている」というもの。これには「あかちゃんを抱っこした状態で背中のベルトを止めている。首の後ろあたりで使うのかと思っていた」という声が上がりました。
背中のベルトは肩甲骨の下角ぐらいの高さで、左右の肩甲骨を寄せるようにするとよい姿勢になり、ずいぶん楽になります。赤ちゃんを抱っこしたりおろしたりするときには、脇の紐を緩めたり締めたりして調整するとよいそうです。
ベビーキャリア(抱っこ紐)はここ10年で数多くのタイプが販売されるようになりました。商品の対応年齢表記はあくまで目安であり、表記的には長く使えるように書いてあっても、実際に赤ちゃんが歩き始める頃には赤ちゃんにとっては窮屈なものになっているのだそう。
「赤ちゃんが産まれるとなると今はみんな駆り立てられるように抱っこ紐や便利グッズを購入しますが、絶対必要なものではないんです。不安にならなくて大丈夫、赤ちゃんにとってはお母さんの腕が一番安心で心地のいいものなんですから」と藤原さんは言います。
抱っこ紐に入れたときに赤ちゃんがのけぞったり嫌がってぐずったりするのは、正しく装着できていなかったり窮屈だったりするからかもしれません。赤ちゃんの声を大切に聞いて、便利グッズに赤ちゃんを合わせようとしなくてもいいのだそうです。
おんぶに挑戦
おんぶもできるタイプの抱っこ紐を持つお母さんは、この機会におんぶにも挑戦してみました。
おんぶのときも、赤ちゃんが背中の下の方に下がりすぎると赤ちゃんの手がつかめる所がなく、宙ぶらりんな状態になって赤ちゃんはとても苦しくなってしまいます。赤ちゃんが背中の高い位置にいて、お母さんの肩にしがみつけるのが良いポジションです。
するとどうでしょう、赤ちゃんの顔が笑顔になりました!
その後もお母さんたちの悩みを中心に、それぞれ実践しながら解説が行われていきました。
「夫が抱っこすると泣くんです」と相談するお母さん。「パパの緊張が赤ちゃんに伝わってるかもしれないね」と藤原さん。「パパもリラックスして、抱っこする前にちゃんと赤ちゃんの目を見て伝えてあげてください。『今からパパが抱っこするよ〜』って」。
赤ちゃんにお世話をするときに「声かけ」をするのはとても大事なのだそう。赤ちゃんはまだ目がよく見えない上、視野も広くありません。そんな状態で大人が声をかけずに、狭い視野の端から突然ガバッと抱き上げると、赤ちゃんは驚いてしまいます。「今から抱っこするよ」「オムツを変えようね」など、お世話の前には赤ちゃんの顔を覗き込んでちゃんと伝えてあげることで、赤ちゃんも体の準備をしてくれます。お互いにコミュニケーションが取れてくると赤ちゃんが協力してくれるので、子育てが楽に、楽しくなるそうです。
へこ帯を使ってみた
最後にへこ帯を使った抱っことおんぶの方法を学びました。「へこ帯(へこおび)」は元は鹿児島の薩摩男子が使っていたもので、幅が広く、柔らかい生地が特徴の帯です。現代では女性の浴衣の帯として利用されることもありますが、実は非常に優れた防災グッズの一つでもあります。救助用の紐になったり、大人をおんぶすることもできる他、避難所では赤ちゃんの掛物や授乳の際の目隠しに使えるなど、いろんなシーンで活躍するそうです。重たくかさばるベビーキャリアに比べて軽量でコンパクトである上、結び方次第でおんぶも抱っこもでき、パパとママの体格差を調整し直すなどのわずらわしさもありません。子育て中の方が持っておくと、いざというときに役に立つものかもしれません。
赤ちゃんを抱っこするための詳しい巻き方はここには記しませんが、気になる方は「ゆるりんこ」の藤原さん、林田さんに相談するか、インターネットで「へこ帯・結び方・赤ちゃん」と検索してみてください。たくさん解説や動画がアップされています。
今回の抱っことおんぶのセミナーに参加したお母さんたちからは、
「子育ての悩みが解決してよかった。また来たいです」
「抱っこ紐は暑くなってきていたので、おんぶができるようになってよかったです」
「おんぶはしていましたが、やり方が間違っていたのか、のけぞったりしていたので、今日正しい方法を教えてもらえてよかったです」
などの感想が寄せられました。
「赤ちゃんの育つ環境を守る会・ゆるりんこ」では、毎月第2、4、5月曜に第一子の赤ちゃんが1歳代くらいまでのママたちのフリースペース「ゆるりんこ」を開放しています。実家に帰ったような気持ちで自由に出入りできる場所なので、気軽に足を運んでみてください。
緊急事態宣言中は閉鎖しています。それ以外で急な中止もあるそうなので、気になる方は直接問い合わせをして行ってみてください。場所は問合せの際に直接お伝えしているそうです。
問合せ
赤ちゃんの育つ環境を守る会・ゆるりんこ
TEL 090-9407-3432(藤原)
✳︎この事業は宗像市人づくりでまちづくり事業として開催しました✳︎