CIRCL-むなかた井戸端会議❺

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12月14日(水)、メイトム宗像 結工房で市民活動・NPOセンター主催『CIRCL-むなかた井戸端会議 ❺』を開催しました。市内の幅広い世代からNFTやブロックチェーン技術などに興味を持つ10人が参加しました。

【『CIRCL-むなかた井戸端会議』とは】

宗像の今やこれからについて、対話を通じ、考えを巡らせながら深め、明日への行動につなげることを目的とした現代版井戸端会議です。毎回、テーマに応じたゲスト(話題提供者)の話をもとに少人数単位の車座で意見交換を重ねていきます。

【今回のテーマ:Web3.0時代における地域のあり方】

近年加速しているテクノロジー産業。Web3.0、NFT、ブロックチェーンなどの技術は地域活動にどう活かされるのでしょうか。
2人のゲストスピーカーから、地域における新しいテクノロジーの可能性と、飯塚市での最先端の取り組みについてお話をうかがいました。

ゲストトーク①「NFTで描く地域の未来」

1人目は九州NFTラボの時田悠樹さん。

時田さんは愛知県出身、前職はなんと警察官。暗号資産技術やNFT活用に大きな可能性を感じ、NFTプロモーターとして活動を始め、今年の2月に福岡市に移住して九州NFTラボを立ち上げます。夏には九州最大級の展示会を開催した他、RKB毎日放送や読売新聞のメディアに取り上げられるなど注目を集めており、NFTを一般の人に広く知ってもらったり、地域での活用を考えるなどの取り組みを行ったりしているそうです。

NFTってなに?

NFT(Non-Fungible Token/代替不可能なトークン)とは、偽造や改ざんが難しいブロックチェーン技術によって固有の価値がついた、デジタルデータのことです。NFTデータは誰でも作成でき、それ自体に資産価値をつけることができます。コピーを防ぐことはできませんが、ブロックチェーンの紐付けから本物かどうかを見分けることができ、売買されるたびに作成者に報酬が還元されことから、主にアート業界で取り込まれてきています。取引所にデータをアップロードすれば誰でもNFTクリエイターデビューできる手軽さから、副業として初める人も増えているそう。

NFTの身近な活用例には、

  • パリーグがその動画をNFTにして販売
  • メタバース(コンピューターの中に構築された3次元の仮想空間やそのサービス)上の土地をNFTにして販売
  • コンサートのチケットをNFTで発行
  • ふるさと納税にNFTを活用し、観光に繋げようとする自治体も出てきている

…など、私たちの気づかないところで広範囲にわたってNFTは活用されているようです。

九州NFTラボのホームページより

「NFT×地域」の可能性:『経歴のNFT化』

これまでボランティア活動をした記録は本人にしかわからず、資産にはなりませんでした。そこで、例えばNPOセンターのような信用のある発行母体が、その人のボランティア活動に対してNFTを配布することで、「この人はこんなボランティア活動をした」とそれ自体に資産をつけることもできるといいます。「経歴の見える化」をすることで、その人の評価を蓄積することができるのです。

同じような発想で、まちの活動にどれだけ貢献したのかを、NFTを発行することで記録できるといいます。そのNFTに何か得点をつけるなどして参加者を増やし、まちの活性化につなげることもできるかもしれないと、時田さんは話します。

参加者の原田さんによるグラフィックレコードメモ

NFT活用は機材投入の必要がないことで安価に始められますし、誰に配布したかを追跡できる性質を活用すれば、発行側はさまざまなサービス展開ができるといいます。時田さんは「NFTの活動は始まったばかりです。NFTを活用してまちの魅力や事業アピールをしていってください!」と締めくくりました。

ゲストトーク②「飯塚市とブロックチェーンの取組み」

2人目は飯塚市役所職員、経済政策推進室の大隈友加さんです。なぜ飯塚市がブロックチェーンに取り組むようになったのか、どんな取り組みをしているのか、また今後の活用について、話題提供いただきました。

飯塚市の背景

飯塚市はかつて炭鉱の町として日本の産業を支えてきましたが、炭鉱が閉山し、産業変革後に大学の誘致に力を入れるようになりました。IT人材に恵まれるようになった現在、ブロックチェーン技術を経済施作の一環として、大学力を活かした情報産業都市作りと、ブロックチェーン技術を活用した新産業の創出に取り組んでいます。

「ブロックチェーン」とは?

「暗号技術を用いて取引利益を一本の鎖のように繋いで記録することで、改ざん不可能なデータ保存を実現する技術」のことをいいます。

既存の情報技術と情報技術を組み合わせることで、新たな価値を見出すことに成功したブロックチェーン技術。大学や地元IT企業など、多様な情報技術に関する知見が集積する飯塚市にとって、ブロックチェーン技術はその強みを最大限に活かすことができる技術として期待されており、最終的には市民の暮らしを豊かにするものと考えられています。

飯塚市の取組み

飯塚市ではブロックチェーンを開発するための交付金を市内3企業に助成したり、所得証明書をスマートフォンで電子発行する実証事業を行ったり、地元IT企業と一緒に市内中高生にブロックチェーン特別授業を行うなど、さまざまな取組みを行っています。

他にも、企業と学生をつなぐ交流の場として年4回ほど「PIZZA PARTY」を開催したり、行政・企業・学生が気軽に参加してネットワークを作り、産業・学術の振興や新産業の創出を促す交流の場「ニーズ会」など(年10回ほど)を開催したりもしています。

フクオカ・ブロックチェーン・アライアンスのホームページより

フクオカ・ブロックチェーン・アライアンス(FBA)という産学官が連携したまちづくり・人づくりを推進するチームも紹介されました。2030年にはブロックチェーンがあらゆる人々のあらゆる生活シーンを支えることになるという将来を見据えて、人材の育成や場づくり、産業クラスターの組成を行っています。気になる人はHPをご覧ください。

大隈さんは「今後飯塚市ではブロックチェーン技術を社会実装に向けて進めていくところです。こんなところにブロックチェーン技術があれば生活が便利になりそうだな、というアイデアがあれば教えてください」と締めくくりました。

参加者の原田さんによるグラフィックレコードメモ

【井戸端会議タイム】

ゲストトークごとに4〜5人程度の車座になって井戸端会議の時間を挟みました。ゲストも交えて、参加者のみなさんと感じたことや想いを語り合います。疑問を直接ゲストに尋ねたり、共有する中でこういうことかな?と理解を深めたり、少し難しい内容でしたが、会話は止まることなく弾んでいました。

【参加者のみなさんの声】

  • NFTとブロックチェーンの活用方法の幅が思った以上にあり、視野が広がった。宗像もブロックチェーンにもっと取り組んでほしい
  • 障害のある子どもなどがデジタルデータ的なものを扱ったり、寄付と連動させられたりしたらなと思った
  • 宗像でNFTブロックチェーンの話が聞けると思わなかった
  • デジタルとはいえ人の信用が大事だと感じた
  • 漠然とした知識しかなかったが具体化した。知らない世界にワクワクしました 

またゲストスピーカーの時田さんからは「みなさんのそれぞれの活動にいかせるアイデアが出たら嬉しいです」、大隈さんからは「みなさんのフィードバックをもらい、市の活動を振り返る良い機会になりました。意見交換を通して行政では気づかないことに気づかせてもらえたので、今後に活かしたいです」と感想をいただきました。

【モヤモヤしたままで、大丈夫】

CIRCLを通じて持ち帰ってもらいたいものは、明確な答えではなく、“気づき”。
それぞれが感じている課題に対して解決の糸口が得られる場ではありません。そのため、モヤモヤしたまま… という人も。でも今まで知らなかったことを知る機会になり、気にならなかったことが気になるようになり、明日からの日常がほんの少し変わります。また車座となって語り合うことで、参加者同士の横のつながりや縁も大切に育てる場となっています。

これからの宗像について語り合う機会を今後も作っていきますので、次回の開催もぜひ楽しみにしていてください!

【今回のゲストスピーカーの紹介】

👑九州NFTラボ 時田悠樹さん
 ▷九州NFTラボ

👑飯塚市役所職員 経済政策推進室 大隈友加さん

 ▷e-ZUKAトライバレー構想…飯塚市が情報関連産業の集積とITを活用した地域の活性化を目指して作成

 ▷中学生向けICT教育・ブロックチェーン授業『Web3・ブロックチェーンの仕組み』(動画)

 ▷フクオカ・ブロックチェーン・アライアンス(FBA)


次回『CIRCL-むなかた井戸端会議』は、2月末に開催予定です。
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