応用講座「企画をブラッシュアップする」
1限目と2限目を終えて企画のつくり方の基本がわかったところで、最後は自分が作った企画を先生に添削してもらいます!
添削してくれる3限目の先生は株式会社 ダイスプロジェクト プロデューサーの白石 洋一さん。
福岡市を中心に行政、商業施設、民間企業のプロモーションやイベントの企画、ファシリテーションを交えた進行管理等、多くの関与者を巻き込んで町やプロジェクトに動きを作るコミュニケーションデザインを軸に活動している企画のプロです!
一人でつくった企画は「これは絶対いける!」と思っていても、思いの外ひとりよがりな内容になってしまっていることがあります。
それを防ぐためには参加して欲しい人など自分以外の人に見てもらうのが効果的。
最終講では各々作成してきた企画を先生に添削してもらいました。
企画の発表と先生アドバイス
ここからは発表された企画内容とそれに対するアドバイスを一気にご紹介します!
企画①「日の里にキッチンを作ろう」
発表者は日の里団地の活性化の一つとしてキッチンを作ることを考えている新開さん(他、宮崎さん、國廣さん)。
「日の里団地に自由に、安価に使用できるキッチンがあったら女性のできることが増えます。
地域の、自分の特技を生かして小商いをしたい女性を対象に、日の里にキッチンを作ろう!という企画を考えました」
【何を目的とした企画なのかはっきりさせておこう】
この場合、キッチンができたあとの参加者の出口をどうするのか考えておきましょう。キッチンで料理教室を開催する?商品開発をする?マルシェを開くことを目標にしてみる?などですね。
どういうプロセスを踏んで何を達成していくのか、より具体的に考えていくといいですね。
企画②「自分で作って外で元気に遊びましょう!」
発表者は日本紙飛行機協会 宗像支部の堀さん。紙飛行機ならぬ紙折り飛行機を使った外遊びを勧めています。
「子どもから高齢の方まで、紙折り飛行を使って外で元気に遊びましょう。世代間の交流も生まれ、良いことづくしです」と堀さん。
原材料費の関係で、対象が子どもといえど参加費がかかるのを課題としています。
【お金を払ってでも参加したいイベントって?】
参加費が発生する企画の場合は「お金を払ってでも参加したいと思うイベントとはどんなものか」を考えましょう。子どもだけでなく家族を対象にして「イベントに参加すると家族にとってどんないいことがあるか」を考えてみるのもいいですね。
紙飛行機ではなく紙折飛行機の魅力はどんなところなのか、伝えられるといいですね。
企画③子どもが店長!親子フリーマーケット「お部屋を片付けて、子ども店長になろう!」
庄野さんが企画したのは子ども主体の実践版お店屋さんごっこ。
「子どもにモノやお金の大切さを教えたい。自主性やコミュニケーション力も育んで欲しいので」
運営の課題は申込みの管理です。
「パソコンが使いこなせないのでどうやって受付管理をしようか…」
【いろんな人に共感してもらえる企画を】
イベントを開催する際には企画構想の他に、広報(チラシ作成、SNSでの情報発信、広報誌への掲載など)、参加者申込み管理(ExcelやGoogle Formなど)、開催地(会場)との打ち合わせ、備品管理など、さまざまな準備が必要になります。
市民活動においては全てを企画側で準備しようとせず、企画の趣旨を理解して応援してくれる人たちに協力してもらうのが理想的。協力体制を得られる企画は、同時に口コミによる発信力につながりますよ。
企画④「安心、安全な野菜を食べよう!」
発表したのはごみ住連の松尾さんと田中さん。ごみ住連では生ゴミを堆肥化するダンボールコンポストを普及する活動を行っています。
「食べ物に関心のある若い世代にごみ住連の活動を知ってもらうきっかけ作りとして、企画しました」
【参加者の目線に立つ】
こちらの企画のように参加してもらいたい対象がはっきりしている場合は、企画の段階でその対象者に参加してみたくなるか聞いてみましょう。
ここでは「若い世代」が対象なので、その人たちに「こんなのしようと思うんだけど、どう思う?」と聞いてみる。そうするとより企画の内容や伝え方が明確になってきますよ。
企画⑤「宗像コスモス会地域交流まつり」
宗像コスモス会では障がい者の方への就労支援や福祉活動を行っています。
「宗像コスモス会の活動を知ってもらい、障害者が一方的な被支援者ではないということを知ってもらいたいです。どうしたらたくさんの人に来てもらえるのかが課題です」
【どうなれば成功?】
より多くの人に来て欲しい!という企画のような場合、「より多く」「できるだけ多く」などは抽象的でゴールがあいまいです。「何人来たら成功なのか」「どんな人が来てくれたら嬉しいのか」を具体的に決めましょう。
どんな動機で来てもらうかも一緒に考えられたらベストですね。
企画⑥「きみの町はどんな“まち”?こども歴史体験」
発表した竹熊さんはうきは市の地域起こし協力隊です。
「うきは市に住む人たちに地元の魅力を知ってもらいたくて企画しました。親子で参加してもらって郷土愛を醸成できたら」
【素材を活かした見せ方を】
だいたい企画者の言うことは正しいです。だけど、ただ正論を伝えられても面白くなさそうなものには人は反応しません。
そこでポイントになるのは企画の入り口部分。この企画では入り口に別の視点を持ってくるといいかもしれません。うきは市では小麦を使った麺が盛んだった歴史もあるそうなので「みんなでうどんを食べよう!」という入り口から、地元の歴史につなげていくという方法。
麺に注目することで子どもにも興味を持ってもらえる内容になりますね。
企画⑦「最後のチャンス、欲しくない?」
今回のLDAで唯一大学生参加の黒崎さん。
「30代独身男女を対象として知り合いの枠を超えた交流や出会いの場を設け、価値観を広げる機会を作りたい。地域の遊具のある公園で開催したいと考えています。公園利用で生じる問題や近隣の地域などのトラブルが起きないようにしたいがどうすればいいでしょう?」
【地域のキーマンを味方につける】
このような地域の公園を利用したいイベントの場合は、地域のキーマンを抑えて開催の主旨をしっかり伝えて味方になってもらえるといいですね。共感してもらえると次の企画も開催しやすくなります。
行政には公園規約もあるので、事前にそちらもチェックしておきましょう。
企画⑧「知的好奇心くすぐり対決‼︎My Favoriteバトル」
品川さんは市民活動団体「田久有志の会」と「MBBC宗像ビブリトバトル倶楽部」で活動する二児のお父さん。
「世の中に役に立たない知識はないという観点から、人と出会い、お気に入りをみんなで共有しあい、大いに語り合って交流を深める場を作りたい。プレゼンテーション能力を向上させる機会として、合コンなどでのイベントとして活用していくこともできます」
【プレゼン能力は本当に大事!】
伝えたいことを論理化して構造化する=プレゼンする、という能力は本当に必要です。この企画はコミュニケーションの手法を展開したイベントでとても良いですね。
集まったグループの中でさらにテーマを決めると一層盛り上がりますよ。
みなさんメモを取りながら、ふむふむとうなずいていました。
基礎を学んでから実践、ブラッシュアップしていく過程で、自分がどんなことがしたいのか、何を大事にしたいのかが少しずつ研ぎ澄まされてきて、輪郭がはっきりしてくる感覚を持った方も中にはいたようです。自分に企画をつくるのは無理…と思っていた方も、一つの成果物ができたことで自信がついたのではないでしょうか。
発表された企画の他に、事前に作成した企画を先生に提出しプライベートで添削してもらっている人もいます。それらの企画もふまえて今後はむなかた市民フォーラムでできるだけ追跡し、実現した企画については報告していきたいと思います。
これらの魅力的な企画が実現され、地域での交流の場が増えていくといいなと思いました!
1回の講座で8つもの企画を添削してくださった白石先生は、今回一番負荷が大きかったと思います(笑)。大変お疲れ様でした!!本当にありがとうございました!!
最後に
3回を通した企画づくりの「基礎」・「実践」・「応用」講座、いかがでしたか。
アンケートに「仕事にも役に立つ内容」と書いてくださった方も多く、予想以上の応募があったのは驚きでした。また普段の生活の中ではなかなか接点のないような人と出会い、意見を交換することができる場所を求めている人が多くいることもわかりました。たくさんの喜びの声や満足の声を寄せていただき、主催として安堵しています。至らない点も多々あったかと思いますが、ご参加いただきありがとうございました。
今後も「まちづくりの学校」として、まちを想う人が集い、交流できるような場をつくっていきたいと思います。
参加されたみなさんからの声
- 入口と出口について考えさせられた。まず、目的をはっきりさせないと企画が成り立たない。でも、そこを前面に出してもお客さんが集まらない。入口と出口の見せ方が大事だなと思った。
- とてもよかった。発表された皆さんの「企画」もとても素晴らしく参加してみたくなった。途中から(3回目のみ)の参加だったので、とても残念に思った。先生のアドバイスに明るい出口が見えた気がする
- 先生からのアドバイスやイベントに参加することとは別に「企画の軸を決める」ことの重要性と「何に重点を置くか」に気づけた。課題だけでなく、将来の自分のやりたいことにも繋げていきたい。
- いろんなことをやっている人がいて面白いなと思った。会社という社会とは違って、新鮮だった。利益追求や成績だけを追い求める世界とは違うコミュニティも大切かもしれないと最近思う