【9/1】LDA2019 3限目「企画の実現に欠かせないもの」

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「ローカル×デザインアカデミー(Local Design × Academy 略してLDA)」は、地域の担い手が集うまちづくりの学校です。

過去に開催されたLDAについてはこちら >>

今年で4年目の開催となるLDA2019。
テーマは、「企画を実現する方法」です。

1限目… 新しい視点で「まち」を見てみよう
2限目… 企画は誰でも実現できる
3限目… 企画の実現に欠かせないもの

誰もが企画を実現できる仕組みと具体的な方法を、「NPO法人 福岡テンジン大学(以下、テンジン大学)」の学長とその団体に関わる人たちから3回にわたって学びます。

9月1日(日)メイトム宗像の結工房で、ラスト3限目が開催されましたので、その様子をお伝えします!

講座:テンジン大学 ボランティアスタッフ

これまで1限目2限目と企画をつくるための講座やワークを行ってきました。
しかし、どんなに完璧な企画ができても、現実には「あるもの」がないと開催には至りません。
それは一体何でしょう?

まずは、テンジン大学の授業の運営を影で支える2人のボランティアスタッフのお話からそのヒントを探ります。

ボランティアスタッフとして裏方で支えることならできる!

お1人目は、岡本 理恵さん。
「そうだ!ボランティアしよう」と思い立ち、【ボランティア 福岡】と検索したところ、テンジン大学がでてきたそうです。
その頃の岡本さんは、子育てが一段落して心の穴がポッカリ開いてしまい、時間も持て余していました。

最初は「自分には自慢できるキャリアがないから」とボランティアスタッフに応募することをためらったという岡本さん。
でも「ボランティアスタッフとして裏方で支えることならできる!」と思い切って行動を起こしたそうです。

岡本さんが考えるテンジン大学ボランティアスタッフの役割は、コーディネーターが授業(企画)の進行に集中できるようにサポートすること。
授業のタイムスケジュールを見て資料の配布するタイミングを考えたり、室温を調整したり。
「終わったあとに、授業の様子を報告するレポートを心を込めて作成することもボランティアスタッフの大事な役割です」と岡本さん。

ボランティアスタッフとしての経験を重ねることで、自分自身の成長を感じるようになり、だんだん「主体的に活動してみよう」「企画してみよう」と考えるようになってきたといいます。

自分の好きなことで誰かの役に立つことは気持ちいい

お2人目は、宇都 太亮さん。
鹿児島県出身の宇都さんは、就職活動中にテンジン大学に出会い、魅力を感じて福岡県に移住しました。

宇都さんは、福岡で開催された無料イベントに参加した際に「なぜこのイベントは無料で開催できるんだろう?」と不思議に思います。

当日のイベント進行だけでなく、開催までにはさまざまな準備が必要。
ゲストを呼ぶためにスケジュールを押さえて管理したり、天気の心配までしないといけなかったりします。

ひとつのイベントを開催する裏では多くの”人”が動いているんだ、ということに気づいた宇都さん。
そして、「自分も何かお返しするようなことをしたい」と考えたことが、ボランティアスタッフをはじめるきっかけになったそうです。

「自分の好きなことで誰かの役に立つときに一番心が満たされます」と宇都さん。
ボランティアスタッフとして活動するようになって、自分のできることや興味が少しずつ広がり、それを次のボランティア活動や仕事にも役立てているのだといいます。

 

活動を支える“人”

NPOセンターには「何かは決まっていないんですけど、何かしたいんです」と言って窓口を訪れる人が年間通して数人います。

「何の役に立てるかはわからないけど、自分でも何か人の役に立つことができたら」と。

このように積極的に窓口に来られる方は全体のごく一部で、実は心のどこかでそう思っている人たちはもっとたくさんいるのではないかと思っています。

岡本さんや宇都さんもその一人でした。そしてテンジン大学の発信するスタッフ募集の文言の後押しもあり、ボランティアスタッフになったのです。


※テンジン大学 ホームページより

宗像市は市民活動がさかんで、団体として活動している人は多いのですが、このように明確に分かる形でスタッフを募集している団体は多くありません

けれど呼びかけたら応えるはきっといます。そして人が集まると実現できることが増えます

呼びかけの第一歩は「想いを発信すること」です。「なぜしたいのか(Why)」「何を伝えたいのか(What)」「誰に伝えたいのか(Who)」をはじめとする企画の土台徹底的な言語化がその助けになります。

3回の講演でこれらのことをそれぞれの講師のみなさんからお話しいただきました。

 

ワーク:企画をブラッシュアップする

昼食(岬のね〜ちゃんの特製弁当!)のあとは、参加者のみなさんが考えた企画を発表し、参加者全員でディスカッションしながら企画をブラッシュアップしていきます。

まずは発表された企画を紹介します!

①【集まれ食いしん坊!五感で楽しむムナカタツアー】

福岡市内の都会で育った企画者。宗像で感じる自然の豊かさと空気のおいしさなどの魅力を、食を通じて発信したいという想いで企画をつくりました。

内容は宗像の各所を巡りながら、郷土料理でもある「鶏すき」の食材(野菜・卵・醤油・地鶏)を集め、調理して食べるところまでを自分たちの手で行うという五感体験型のツアーです。

宗像の土を踏み、きれいな空気を吸って、地元の人たちの人柄にも触れる。ひとことで言い表せない宗像の魅力を感じてもらい、ゆくゆくは定住先を宗像に選んでもらうことを目的としています。

対象者は定住先を探している若い人で、単身でも家族連れでもOK

開催時期は秋ごろ。

食材集めで宗像市全域を巡り、市内を見渡せる孔大寺(希望)で場所を借りて鶏すきをいただくというものです。

 

②【Make your home, make your life!】

SNSなどの通信手段が発達し、私たちはいろいろな人と簡単に繋がれるようになりました。しかし、そんな時代だからこそ、人と人が気軽に合ってコミュニケーションがとれる場所を作りたいと思った河村さん。

何かを知りたい・人に何かを伝えたい、という人を対象とし、面白いことや楽しいことを提供できる講師を呼んで、人と触れ合い、楽しかったと思ってもらえるような時間を提供したいと考えました。

定員は5~10人、田久のアパートの一部屋を会場として開催したいということでした。

 

③【神さまのヒミツ】

宗像大社をはじめとした沖ノ島関連遺産群が世界遺産として登録されましたね。

ここで質問です。「どうして神社や宗像大社にお参りに行くの?」と子どもに尋ねられたら、あなたは何と答えますか?宗像に住んでいるけど答えられないという人、多いのではないでしょうか。

この企画は子どもたちがフィールドワークを通じて歴史や参拝の方法、神様について、楽しみながら学べるというもの。参加した後、子どもたち自身が親や兄弟、学校の友だちなどに「ねぇ知ってる?」と大社について説明できるようになることが目標です。

グループの中に市民活動団体「むなかた歴史観光ボランティア」のスタッフさんもいたことから、より具体的な内容を詰めていくことができそうです!

 

④【あなただけの宗像ヒーリングツアー】

宗像には魅力な観光資源やパワースポットがたくさんあるけれど、自分にぴったりの観光ツアーはなかなか見つからないもの。自分にぴったりのツアーをオーダーメイドでつくってもらえたらなぁ…。

ということで考えたのがこの企画!

その人が宗像で過ごす時間の中に何を求めているのか事前にカウンセリングを行い、その人だけのオリジナルツアーを組んであげるというものです。その人は癒やされるとともに宗像に来てよかった、ときっと思うことでしょう。

宗像の観光に強い人と専属カメラマン、さらにはパワースポットや思い入れのある場所での写真撮影付き。

対象は自分探し中の人。企画途中の段階で費用は8000円くらい?とお話していました。(安い!)

…本当にこれが実現したら全国各地の女性が殺到しそうです。

 

⑤【恋したい方、伝説の彼方。ようこそ、むなかたへ】

こちらの企画者は韓国人留学生で現役大学生。

福岡市を訪れる外国人観光客から見て宗像市は観光地の選択肢にほとんど入ってこないし、インターンとして宗像に来る前は自身でもそう思っていたといいます。

8月から2ヶ月間、インターン生として宗像市内の様々な場所に足を運び、多くの人との時間を共有するうちに、彼女の中ではある思いが芽生えます。

まだあまり知られていない宗像市の魅力や市内の優しい人達のことを知ってもらいたい」

対象を彼女と同じ外国人留学生とし、自転車で宗像の観光地やパワースポットを周り、赤間宿での着付け体験などの文化にも触れる日帰り旅行を企画しました。

 

⑥【URからはじまる日の里生活 〜様々なライフステージを日の里で〜】

3回のワークを通して何かと話題になっていた日の里団地。空き家や住民の高齢化問題をなんとかできないかと、様々な取り組みやワークショップがさかんに行われています。

企画内容は、宗像の魅力を体験するとともに、日の里団地が「駅に近く利便性が高い点」・「その割に家賃が安い点」・「子育てしやすい環境が整っている点」を伝えて、日の里に定住する人を増やすことにつなげるというもの。

「体験で宗像の魅力を伝える × 日の里の利便性を伝える=日の里に定住してもらう!」

ということですね。

ちなみに「体験」それまでに発表された企画とコラボしてこの企画の一部としたいとのことでした。

みなさんが発表した案をいただく!という大胆な発想にまとまり、会場の笑いをとって企画発表を締めくくりました。

 

ブラッシュアップタイム

参加者のみなさんには、企画ごとに「好感・共感・いいね!ポイント」「質問・疑問」「こうしたらよりよくなるのでは?」をメモしてもらい、それぞれの企画発表後に全体共有しました。

第三者に見てもらうことで、企画者自身では気付かないことや盲点を指摘してもらうことができます。最初は指摘されることに慣れていないので、一生懸命考えた自分のかわいい企画にケチをつけられるような気持ちになったりもしますが、結果的にはより精巧な企画となっていきます

企画を作成する担当になった方は、1人だけでもいいので、誰か他の人に企画を見てもらうことをおすすめします。

さらに言えば、その企画に来てほしい人・ターゲットになっている人に見てもらうと、より的確な言葉をもらえるはずです。ぜひ参考にしてみてください。

 

LDA誕生企画の発表!

全グループでの発表を終え、最後に投票を行いました。投票の基準は、

「自分が参加したいと思う企画」
「友人・知人にオススメしたい企画」
「ぜひ実現してほしい!と応援したい企画」

としました。

そして選ばれたのは…

⑤【恋したい方、伝説の彼方。ようこそ、むなかたへ】

です!(パチパチパチ!)

LDA誕生企画はNPOセンターの全面的なバックアップのもと、今後実現を目指して企画を詰めていきます!

また投票で1番でなくても「やってみたい!」という企画者の想いがあるものは、NPOセンターができる限り伴走支援をして実現させていきます。

※9月12日現在、実現に向けて走り出しているものは⑤の他、①と③の企画です。
今後の進捗をどうぞ楽しみにしていてください!

企画内容が固まって開催日が決定した折には、メイトム宗像ホームページPENTAGONホームページFacebookから広く告知をするのでせひチェックしていてください。

 

LDA2019を終えて・・・

3限目では、テンジン大学ボランティアスタッフのお2人から、ボランティアスタッフとして活動するようになったきっかけや、活動を通して感じたことをうかがいました。
お2人のように影で支える”人”がいるからこそ企画は実現できるんだ、ということに改めて気づいた方も多かったのではないでしょうか。

3回にわたって開催されたLDA2019全体を通して、参加者のみなさんからたくさんの感想をいただきました!

「言語化の大切さを体感できた」
「自分の欲求(やりたいこと)みたいなものを文字にして向き合える時間が作れたことが一番良かった」
考える時間とそのツールがよかった。ツールにそって考えることで言語化し、頭の整理ができ、仲間との共有もしやすくなります」

 

このLDA2019を通して生まれた企画については乞うご期待!一緒に企画に関わっていきたいという方ももちろんウェルカムなので、お気軽にセンターにお問い合わせください。

大変長文になりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました!

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