11月24日(木)、市民活動・NPOセンター主催の「まちづくりのすゝめ2022」第4弾!実践編『ひとりでやらない企画づくりのすゝめ』をメイトム宗像で開催し、市内外から20名が参加しました。
まちづくりのすゝめとは?
市民活動やまちづくりを実践するときに役立つノウハウを学び、これからの活動に活かすための講座。2022年度は「スキル編」「デザイン編」「ツール編」「実践編」のテーマに沿って全4回開催し、今回がラストとなります。
講師の紹介
今回の講師は、北九州市八幡西区黒崎の商店街でまちづくりに関わり、数々の企画を生み出している 株式会社三角形・株式会社寿百家店の代表取締役 福岡佐知子 さん。その取組みはメディアでも取り上げられています。もともと公立の文化施設でアートの企画、コーディネートなどの広報をしていたという福岡さんですが、まちづくりに関わる仕事がしたい、と2011年に黒崎にあったまちづくりの会社に就職し関わりはじめます。ゼロからスタートし仲間とともに成功体験を一つずつ積み重ねてきたお話しと企画づくりの進め方について福岡さんにお話ししていただきました。
講義start!
「どうして私がこういう話ができるのか?それは私自身がこの3つにはまっていたから。」と福岡さん。こんな人に向けて伝えられたらと、講義startです。
🌀何かやりたいけど企画の仕方がわからない。新しいアイデアが生まれない。
🌀自分はリーダーには向いてないんじゃないか。仲間づくりをしたい。
🌀いろいろやってきて疲れちゃった。この先が見えない。不安。
①どんな仕事を手掛けているか?
株式会社三角形では、ブランドの立ち上げ・企画・PR(パブリックリレーションズ)から会議のファシリテーター、関係性の立ち上げ、まちづくりのブランディングなどを行っています。社名の三角形には、実は “参画(さんかく)” という意味も含まれていて誰もが”参画”できる社会を理想とし、それを福岡さんたちが生み出す企画によって実現したいという強い想いが込められています。クライアントの課題を解決するとともに社会とのコミュニケーションをつくる仕事をしています。よりよい社会の関係づくりを目指し、どんな人と関わるのかを大切に、成果だけではなく効果を得ながら新しい気づきや発見を落としたい人とともに歩んでいます。
②寿通り商店街の復活
黒崎駅前には放射線状に複数の商店街が広がっています。その中の一番小さな通りが『寿通り商店街』です。駅からも少し離れていて7分ほど歩く場所にあります。空き店舗が目立ち、シャッター商店街と呼ばれる場所を人が集まる場所へと復活に向け動きはじめたのが2012年。
“仕事ない、お金ない、ネットワークない”からスタートした福岡さん。まずは駅近くに事務所を借りてネットワークづくり、資金調達のため異業種交流会を週に1回開きます。3年間続けた後、2015年、寿通り商店街の空き店舗に事務所ごと引っ越し、リノベーションし、昼は三角形のオフィス、夜は5坪のワインバー「TRANSIT(トランジット)」としてオープン。地域の人が交流する場をつくります。そうこうしていると、今度はおつまみがないネ。ということで隣の空き店舗に“colorful”なお惣菜のお店「コトブキッチン」をオープン。そしてドリンクとお惣菜をゆっくり食べることができる「コトブキリビング」も向かいの空き店舗にオープン。シャッター商店街に光を灯します。
また、シャッター商店街の外観のイメージを少しでも良くしたい、そんな想いで企画したプロジェクト『トム・ソーヤ大作戦』では、商店街に少しでも興味をもってもらおうとペンキ塗りのイベントを月に1回開催。必要な経費については、寄付つきのオリジナル手ぬぐいを作成して「TRANSIT(トランジット)」などでプロジェクトに共感してくれる人に購入してもらい、そのお金をペンキ代にするなど資金調達についても工夫します。「自分も何かしたいなぁと思っていてもその場に足を運べない人もいる。そういう来れない人の気持ちを受け取れる設計づくりも重要。自分たちがやったことでまちが変わっていく、そんな小さな変化を起こしていく。目の当たりにして見えることが大事。」と福岡さん。
“シャッターを全部上げる”をキーワードに空き店舗に光を灯しはじめた福岡さんでしたが、更にシャッターとなっていく店舗を目の当たりにします。「2年間くらいは、悲しい状態だった。この先を不安に思った。」と当時を振り返ります。
ところが、諦めずに日々を過ごしていると仲間が集まってきます。建築士や都市コンサルタント、大学教授などの肩書きをもつ人たちと、株式会社寿百家店を設立することに。空き店舗の一角の2階建ての3物件(元美容室、元呉服店、元時計店)をフルリノベーションし1階はテナント、2階はアーケードシェアハウスへと生まれ変わらせます。
シャッター商店街だった寿通り商店街は、現在、平日に通ってもどこかのお店が空いている、そんな通りになっています。
📺メディアでも紹介されています。
ガイアの夜明け▶︎ https://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber4/preview_20210119.html)
👉こちらのコラムでも、無職のボランティアから任意団体を立ち上げ、株式会社をつくり、ワインバーを始めてしまった福岡さんのお話を掲載しています。
③企画ってなに?
企画って、魔法。アイデアは意外とすぐそばに落ちているのかも⁉️
- 違うものと違うものを組み合わせることができる。
全く違うものでも企画にのせることで形になる。 - あたまのなかタイムマシン。未来に一足先に到達できる。
となりの人に話したりすることでみんなでタイムマシンに乗ることができる。未来を描くことができる。 - 私たちは誰かの企画のなかに育ち生きている。
今でも手に持っているもの、目に映るもの、全て企画のもと私たちは誘導されながら生きている。鷲掴みにされて買っちゃったり誰かの意図の中にいる。自分の周りに企画じゃないもの・・自然くらい? - その企画はその人にしかできない。
同じことをやったとしてもその人が何を考えてきて、どう育ってきて、どう過ごしてきたか?誰ひとりとして同じものはできない。
実践から得たこと
2015年から寿通り商店街に引っ越して、今に至るまでの7年間やってきた経験から得てきたこと。
- べんずかあまず
企画って、集まっているメンバーそれぞれの中心点を探すことを心がけている。”こういう企画をしたいからこういうメンバーを集める” …だと難易度が高い。そうではなく、”このメンバーでどういうものがつくれるかな?” …そう考えることでものすごくオリジナリティのものが生まれてくる。
- イワシの群れ🐟
どういうふうに集団(仲間)つくっていったらいい?いわしの群れにはリーダーはいない。いないけどぶつからない。ぶつかりそうになると急に方向転換し、そこで今度は一番前になった人が次はリーダー。自分がその番になった時に責任を果たしたり、誰かが前に出た時には支えたり、誰がリーダーになっても大丈夫なようなチームビルディングをしている。
- ストレッチゴールと成功体験
どでかい目標を掲げてしまうとひとりでできることは限られていたり、今の体力ではできないこともある。ゴールは少しずつ設定して段階的に追っていく。そして人と一緒にやる時には成功体験が大切。大人になると成功体験を逃し気味だけどみんなでその体験を共有していくことが次のゴールを設定する際の力となる。
- プロの力を借りる
ちゃんとお金を払ってプロの力を借りた方が早いことも。お金を払った人にも仲間になってもらう大切な手段の一つ。仲間になってもらうことで、自分がやろうとしていることの価値も上がることが多い。素人で時間をかけて、なんでもかんでもやろうとするとプロジェクトが広がりにくいことも。どこに予算をかけてどこを削るか、とても重要。
④ひとりでやらない企画
企画の組み立て方について、実際にどんな順番で進めたらいい?
<立案編(目的→お金→人→時間>
- 目的や予算など行く先と道すじを決める。
- 1.に合うメンバーを決める。💡重要point
- メンバーを決めてからやることを決める。新しいアイデアが出やすい。
- やることをスケジュールへ落とし込む。
<企画書編>
- ゴールの絵をイメージする。
まずは絵から描く。言葉で落とすのは難しい。ネットで検索したり得意な人がいたら絵で描写する。 - 企画書(5W1H)を書く。
- 3人くらいの人に聞いてもらう。💡重要point
誰だって否定されるのは苦手、褒めてくれそうな人にも聞いてみる! - プレスリリース※をつくる。💡重要point
取材に来てもらうことで成功体験につながる。 - 打ち上げの企画をする🍺
※プレスリリース(Press Release)とは、新商品の発売や新サービス、新規事業の開始、あるいは経営・人事などの企業情報を、ニュース素材としてメディアの記者が利用しやすいように、文書や資料としてまとめたものです。企業・団体がメディアを通して社会へメッセージを届けるための基本的なツールとして活用されています。
<対人編>
- 超絶うまく行くパターンと最低のうまく行くパターンを持っておく。
- 交渉相手は最初の仲間だと思う。
- 話しの早い人、うまいやり方を見つける=今後のためのリサーチ。
- 立場が違うと考え方は全く違う。相手のフィールドに入る。「お邪魔します」💡重要point
- 相手のメリットで行動する。
お願いごとにいく時は相手にとってどういうメリットがあるか、を考えておく。 - 相手の立つ瀬、逃げ道をつくっておく。
相手の立場も考えてあげる。優しい気持ちをもつ。 - 喜びも悲しみ、不安も共有する。
- 人の分まで頑張らない
<実施編>
- 準備は100。当日はお茶やお弁当・お菓子の手配や記録、裏方の裏方に徹する。
準備をしすぎて悪いことはない。当日はできるだけフリーに動き、周りの仲間の表情など見るゆとりを。 - MVPを探す
この人はこのイベントで素晴らしかったな、と思う人を探す。そして次のイベントに活かす。
<その他>
- 回り道をするほど、手間がかかるほど、関係者は増える。
例えば『トム・ソーヤ大作戦』は時間がかかることを大切にしているプロジェクト。 - いつでもやめていいという選択肢をもっておく
仲間にもこういう気持ちを持ってあげていると良い。 - やらないことを決める💡重要point
やることを少なくするコツ。 - 素人のままでいる。
- 自分が一番楽しむ。
- ゴールイメージを手放す。企画書になかった未来がここでは正解。
その都度ゴールイメージを変えたり柔軟性大事。思っていなかった違う未来がやってきたことを嬉しく思うこと。 - 戦う時は勝とうとしない、相討ちを覚悟する。
Q&A
参加者から出た質問の一部をご紹介!
Q. 企画を実行に移す時の勝算は?
▶︎A. いつも10年かけて形にしようと思っている。やって10年くらいすると、なんとかなるのでは・・という気持ちを持っている。シャッターだらけの商店街もなんとか形になった。
Q. 一緒にやるメンバーの最少人数は?また上限は?
▶︎A. 最低でも3人いた方がいいかな?2人だと逃げ道がない。上限は特にはないがプロジェクトによっては自分が直接コミュニケーション取れるキャパが良い。大きなプロジェクトになるとたくさんの人が関わるため、細部に渡りコミュニケーションが取りづらくなる。その時は小さなグループを作りリーダーを設置するなど組織体制を柔軟に組み直すと良いかも。
参加者からの声
🌱具体的行動計画の立て方について教えていただき為になった。
🌱内部だけではなく、外部にも仲間を作ることも大切だと思った。
🌱福岡さんの優しいお声に惚れました。
🌱日頃考えたことがなかったことを知ることができた。
講座を終えて
福岡さんの、この10年間ひとつひとつ階段を上がって来られたお話と企画づくりにかける想いを聴くことができ得るものも大変多く、人との出会いの中で生まれるアイデアを大切に大人になっても成功体験を共有できる仲間っていい!と感じることができた講座でした。
過去の『まちづくりのすゝめ』の内容が気になった方はこちらのレポートもご覧ください。
↓↓↓
https://pentagon67.com/susume
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